私は1986年4月に東京国際大学商学部商学科に入学、1991年3月に卒業しました(最後は鐘ヶ江先生のアジア経済ゼミでした)。途中、2年間は米国に留学しています。現在は米国在住ですが、大学時代からの海外経験を振り返り、今後、海外での活躍を希望している方の参考になればと思い、本稿を書き始めた次第です。
南オレゴン州立大学の留学時代は間違いなく、the best part of my life.
私はTIU商学部2年次、学長推薦を得て、日本国際教育協会から奨学金を頂き、姉妹校関係のあった南オレゴン州立大学(現・南オレゴン大学:SOU)に2年間留学する機会に恵まれました。学内の選考には筆記テストや面接試験もあり、多くのTIU生が受験し、狭き門だったと思います。面接後は失敗を確信し、次の年にもう一度チャレンジすると、落ち込んでいたところ、合格通知を受けました。当時はスマホもパソコンもなく、事前の手紙のやり取りのみを通じて留学準備し、スーツケース一つで渡米しました。Portlandの空港から大学への行き方も知らず、今思うと、少々無茶したかと思いますが、当時、留学された方は皆同じ様な経験をされたのではないかと思います。
留学開始当初は、相当苦労した記憶があります。それでも、多くの人の助けを得ながら、充実した日々を過ごしました。2年間はあっという間に過ぎ、Summer Schoolを含む計7クオーター(7学期)在籍し、Honor Roll 3回、Dean’s List 1回頂き、1990年6月、苦労した甲斐あって優等学位で卒業する事ができました。今思えば、留学時代は間違いなく、the best part of my lifeだと思います。何時か、また米国に戻りたいと思いながら帰国した記憶があります。
学位はTIUと南オレゴン大学の両方からBachelorを取得しましたが、Double Bachelorはあまり意味がなく、2つ取得するのであれば、一方はMasterやDoctor等、Terminal Degreeを取得する方が、就職や転職には有利と思います。
(卒業式は公園(屋外)で行われました。Ashland, Oregon, June 1990)
卒業後は、大手化学メーカーに就職。海外出張で視野を広げる
帰国後は即、就職活動に取り掛かり、当時はバブル崩壊直前だった事もあり、希望した会社(日本の大手化学メーカー)に就職するができました。会社では先輩や上司にも恵まれ、様々な経験を積む事ができました。入社直後は海外顧客へのセールス・マーケティングに従事し、海外出張の機会も多く、視野を広げる良い経験になりました。
シリコンバレーに役員として出向。米国特有の訴訟で大勝利したのは忘れられない経験でした
2007年にはシリコンバレーにある子会社に役員として出向する機会も得られ、留学以来、初めて米国に戻る機会となりました。英語は多少覚えていましたが、大学で何とかしていたままの英語では歯が立たない事に気づき、ビジネスで使える様に、鍛え直しました。赴任中はリーマンショックで子会社経営も一時困難を極めましたが何とか乗り切りました。
途中、大きな訴訟が1件発生し、終結まで何と4年間費やしました。保険会社が保険金を払わなかったので、法的処置を取らざるを得なかったのですが、訴訟が得意でない日系企業だった事もあり、保険会社になめられていたのだと思います。最終的には全面的に主張が認められ、被告からは懲罰的なPenaltyを含む金額の和解金を得られ、大勝利となりました。今では、忘れられない経験の一つです。
シリコンバレーのある米国西海岸は豊かな自然に恵まれ、年間を通じて晴天も多く、旅行には最適でした。最も気に入っていたのは、Lake Tahoeです。湖の透明度も高く、秋には素晴らしい紅葉も楽しめます。ネバダとの州境にあるので、カジノもあり、夜も飽きません。最近の山火事で一部消失してしまったと知り、非常に残念です。
(レイクタホ(カリフォルニア州)にて)
(Red Rock Canyon, Nevada, USA)
(Grand Teton National Park, Wyoming, USA)
再度の駐在でシリコンバレーからノースカロナイナへ。そして転職
2013年7月、シリコンバレーでの駐在は終了しましたが、その2年後、再度駐在として、買収したばかりの会社のVice Presidentとしてノースカロライナ州にある、バイオ企業での勤務を命ぜられました。翌年、ノースカロライナにある日系の大人用オムツのメーカーと縁があり、転職する事になり、現在に至っています。お陰様で高齢化社会の恩恵を受け、需要は右肩上がりになっています。最近、マスクの製造販売も開始いたしましたが、コロナの収束と共に需要は激減し、こちらは右肩下がりで、頭が痛いです。
(左から2番目(後部座席)が筆者。これが当社の新製品(マスク)です)
TIU卒業生には日本国内に留まる事なく、大きく視野を広げ、国内外を問わず、社会に貢献できる逞しい社会人になって頂きたい
この様な人生を歩んでいますが、振り返るとTIUに入学した事が、その後の人生を大きく左右したと思います。入学前には英語とはほぼ無縁でしたが、友人や教授から良い影響を受け、少しづつ、先が開けてきたと思います。最近、世の中の変化が激しさを増しましたが、TIUやSOUで教わった事に加え、これまで経験してきた事が非常に役に立っています。
それでも、社会人になってから本格的なインフレを経験するのは初めてだと思いますし、Pandemicやウクライナ侵攻等、思いもよらぬ障害も発生しています。社会・経済環境は激変していると思いますが、何とか幸せに暮らしています。残念ながら平和な世界はやや遠のいてしまったのかと危惧しています。
チャレンジングな環境が続くかも知れませんが、TIUの卒業生には日本国内に留まる事なく、大きく視野を広げ、国内外を問わず、社会に貢献できる逞しい社会人になって頂きたいと思います。そして、是非、自ら幸せを感じられる人生にしていただきたいと願っています。
(以上、2022年5月1日、Raleigh, North Carolina, USAにて、井上 仁)
(井上 仁さんプロフィール) | |
東京都出身 明大附中野高校卒業 | |
1986年4月 | 東京国際大学商学部入学 |
1987年9月 | 南オレゴン州立大学(現・南オレゴン大学)入学 |
1990年6月 | 南オレゴン州立大学卒業(Social Science学部, International Studies専攻) |
1991年3月 | 東京国際大学商学部卒業 鐘ヶ江ゼミ |
1991年4月 | 日系大手化学メーカーに就職 セールス・マーケティング部 |
2007年 | 米国シリコンバレーにある子会社へ役員として出向 |
2013年 | 米国シリコンバレーより帰国 |
2015年 | 米国ノースカロライナ州にあるバイオ企業へVice Presidentとして勤務 |
2016年 | 米国ノースカロライナ州にある日系オムツメーカーに転職
現在に至る |